本レビュー「思考の整理学」の要約、あらすじ、感想のまとめ
ちくま文庫、外山 滋比古(著)の「思考の整理学」。
発売は1986年と古いですが、今も注目を集めるベストセラーです。
著者の外山氏は、お茶の水女子大学の名誉教授で、英文学者。
- 考えるとはどういうことか?
- 考える能力を伸ばすための秘訣は?
などをテーマに書かれています。
そんな「時代を超えて役に立つ良書」として評判の「思考の整理学」を紹介します。
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本の内容、あらすじは?
書店の内容説明では、
アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。
とのこと。
目次を見ると、
グライダー/不幸な逆説/朝飯前/醗酵/寝させる/カクテル/エディターシップ/触媒/アナロジー/セレンディピティ/情報の“メタ”化/スクラップ/カード・ノート/つんどく法/手帖とノート/メタ・ノート/整理/忘却のさまざま/時の試錬/すてる/とにかく書いてみる/テーマと題名/ホメテヤラネバ/しゃべる/談笑の間/垣根を越えて/三上・三中/知恵/ことわざの世界/第一次的表現/既知・未知/拡散と収斂/コンピューター
目次だけを見ると、どんな内容なのかちょっとわかりにくいかもしれませんが、
大まかにいうと
- 前半は、「考える」ということについて著者の意見を述べるエッセイ
- 後半では、論文を書くことを前提に「考える」ことの方法(ハウツー)
といった内容ですね。
独自の比喩を用いて明解に解説されているので、読みやすく純粋に楽しめます。
例えば、目次の最初の「グライダー」。
学生がものを考えるときの姿勢を「グライダーと飛行機」に喩えます。
「飛行機」は、自分で考え、自分の力で前進できる、
一方、「グライダー」は、風にのるだけで、自力で前進できない。
これまで先生のいうことを受け入れるだけで、自分で考えることを学んでこなかった学生を「グライダー」に喩えて、学校教育を批判しているようです。
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また、「寝かせる」「発酵」。
頭の中で考えをまとめるためには、ある程度の時間が必要。つまり考えを「寝かせる」「発酵させる」という行為が大切になってきます。
他には「触媒」。
頭の中にある考えを、他人の言葉を「触媒」として、さらにまとめていくことの比喩ですね。
また、逆説的ですが「忘れる」「捨てる」という思考の整理方法もあります。
整理などせずに、時には忘れる力も大切。一日中ずっと勉強しているよりも、いったん忘れて頭をリフレッシュすることで、思考が「発酵」され、最終的により洗練されたものへと変わっていくということ。
これらの思考の整理方法を実践するための具体的な方法も興味深いです。
例えば、ノートの取り方やアイディアを出すための環境づくりなど。
「手帳やノートなどを持ち歩いて、アイディアが浮かんだら書き留めておく。
そして、ノートをしばらく寝かせておいて、一定期間ごとに見返す」
など独自の方法を伝授してくれます。
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感想
発売してから30年以上たった今でも、ベストセラーとなっている本書。
「東大・京大で一番よまれた本」と言われているだけあって、時代に関係なく、「考える」という本質に迫った内容が興味深いです。
何かを考えるときには、必要なものを頭の中で整理して、考えをまとめて行かなければなりませんが、その方法論、思考のエッセンスは大変参考になると思います。また、文章も堅苦しくなく読みやすいですしね。
この本について考えると、以前、売れっ子のコンサルタントと会話した時のことを思い出します。
私が「良いアイディアを思いつくコツは?」って聞いたところ、
「まずは、夢に出てくるくらい、取り組んでいることについて考えてください」って言っていました。
その位真剣に考えた上で、考えを一旦「寝かせ」「発酵」させると、ちょっとした「触媒」で良いアイディアが思い浮かぶのだとか。(もちろん、苦しい、とも言っていました。。。)
気になった方は是非本書を手に取って、「考える」ことを考えてみてはどうでしょうか。
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